最新のオレゴン州経済(2023年 3月)
地 域 雇用総数 失業率 前月比 前年同月比 同増減
全 米 160.7百万人 3.5% △0.1% △0.1% +2.6百万人
オレゴン州 2,072千人 4.4% △0.3% +0.9% △17千人
ポートランド 1,319千人 4.1% △0.2% +0.3% 微増
セーレム 203千人 4.4% △0.3% +0.7% +1千人
ユージーン 173千人 4.8% △0.3% +0.3% △4千人
メドフォード 101千人 5.2% △0.2% +1.0% △1千人
ベンド 98千人 4.4% △0.3% +0.8% △1千人
アルバニー 68千人 4.8% △0.3% +0.5% △1千人
コーバリス 48千人 3.6% △0.3% +0.6% +1千人
グランツパス 34千人 6.0% △0.4% +1.2% 微減
(季節調整後データ;ポートランド経済圏は1ワシントン州バンクーバー地区も含む)
【1月】 オレゴン州の2023年1月の季節調整済の失業率速報によれば、12月の修正値比と変らず、”4.8%”でした。修正値は12月だけでなく、10月、11月も同率に修正されましたので4ヶ月連続で同じ失業率だった、ということになります。
1月の全米の失業率は3.4%でしたが、これは50年来の低水準だったことになります。オレゴン州の失業率は予想よりやや高いのですが、雇用は若干の伸びがゆるやかですが堅調です。
オレゴン州の非農業給与所得者総数は、1月に9900人増加、業界別には医療介護・専門ビジネスサービス・観光業が牽引しています。
【2月】 オレゴン州の2023年2月の季節調整後の失業率速報によれば、1月の修正値4.8%から0.1%ポイント下落し、”4.7%”でした。オレゴン州の給与所得者総数は若干の減少を見ましたが、1月2月の雇用は季節的にやや停滞するので、ほぼ横ばいと見ていいと思います。建設や教育関連が延びましたが、製造、金融が伸び悩みました。
【3月】 オレゴン州の2023年3月の季節調整後の失業率速報によれば、2月の修正値4.7%から0.3%ポイント下落し,4.4%でした。2021年8月以来、この間のオレゴン州の失業率は平均4.3%と、歴史的に大変低い失業率で安定的に推移しています。
業界別には、3月は医療・介護関連や専門ビジネスサービスが堅調でした。反面、小売りなどがやや伸び悩みました。特に専門ビジネスサービスでは、臨時補助作業・ジャニター・庭師・コールセンターなどが伸びた模様です。
以上
オレゴン日系企業およびオレゴン経済産業情報
- ニューヨークの雇用関係研究所、DHI GROUP INC.によれば、2023年1月のハイテク関連技術者の失業率は1.5%に下落した模様です。ポートランド及びオレゴン州は、全米でもハイテクの主要市場のひとつですが、ハイテク技術者の平均給与および給与上昇率は、全米でも上位です。Dice Tech Salary Reportによれば、ポートランド地区のハイテク技術者の平均給与および上昇率は全米4位で、平均給与$127,734、2021年比の上昇率は15.5%です。シリコンバレーは、平均給与$144,962、ボストンは$130,399、シアトルは$129,456でした。一方、上昇率でポートランドより大きかったのは、フェニックス+26%、タンパ(フロリダ州)+19%、コロンバス(オハイオ州)+15.7%でした。一方で、レイオフも増えており、特に西海岸のシリコンバレーやシアトルで、カリフォルニア州のハイテクの中心地区から、徐々にアリゾナなどの近隣の州に雇用が移動している傾向が見えます。(Portland Business Journal, 03/01/2023)
- ポートランドに本社があるStanCorp Financial Group Inc.は、やはり上場企業の一つであるインディアナポリスに本社をおくElevance Healthから生命傷害保険子会社(従業員福利厚生管理部門)を買収することを発表しました。買収後もStandardの名前で事業を継続する見込みです。Standard Insuranceは、2016年、明治安田生命に買収され、2022年度には3100人の従業員を展開している、オレゴンでは32番目の大企業グループです。(Portland Business Journal dated March 28, 2023)
- ポートランド州立大学人口研究所によれば、Portland都市圏を擁するMultnomah郡の2022年7月の人口は80万人で2020年7月のセンサス比2万人の減少(△2.5%)となった模様です。最近オレゴン州ポートランドからの人口流出が多く、コロナ禍に加えてBlack Lives Matter (BLM)のアクティビストの他州からポートランドへの乱入やホームレスの増加などでポートランドへの嫌気による転出増が主因と思われます。2022年7月現在の過去2年間の各州の人口の増減は、PDX (-0.9%), OR州 (+0.1%), SEA (+0.4%), WA州 (+1.0%), BOI (+6.1%), ID 州(+5.4%)とオレゴンの独り負けでした。(Portland Business Journal, 04/09/2023)
- ポートランドは、全米でも一位になった事もある「安全で美しい街」「誰もが住みたい街」として高い評価があったのですが、今は様変わりになりました。コロナどころではなく、”Black Lives Matter”勃発以降、他州から「アクティビスト」がポートランド市内に流入、一時は空家に住みつくなどの攻防事件あり、同時にホームレスも流入し、急増しました。リベラルな市政は、ホームレスの為にシェルターと称してホームレス用の集合住宅を建てて収容しようとした為、他州からもホームレスがくる始末。入りたがらないホームレスもおり、一方でポートランド市内は、アクティビストがヴァンダリズムによるビルや店舗を破壊し、一方でホームレスは市内の道路や公園にテントを張って居住し汚染され、まるで無政府社会の様で、目も当てられない街に様変わりしました。最近やっとビルの窓を保護する防護板を撤去したところですが、治安も悪化し、出張者には特に夜のダウンタウンに行かないように忠告しています。さらに不評を買ったのは、ポートランド市長がホームレスのシェルター建設の予算を、安易に新税制で賄い、これをビジネスに負担させたので、多くのレストラン、そして弁護士事務所などの専門ビジネスサービスやIT企業などは、ポートランド市内のオフィスや事業所を締め、郊外や州外に出て行くのに拍車をかける最悪の結果となりつつあります。加えてコロンビア川にかかるワシントン州と結ぶ橋も老朽化で掛け替えを計画しており、これも政府は増税で賄おうとして住民の反発を買っています。影響するビジネスはワシントン州などに移転を考慮中です。(Portland Business Journal dated 04/25/2023)
以上