第6回 米国連邦とオレゴン州の源泉徴収税制(その二)
源泉徴収額の算定方式
オレゴン州の場合
従業員の給与・賃金から源泉徴収する金額を算定する方式は、次の二つがあります。
第一は、オレゴン州歳入局が制定した「金額別源泉徴収税額表」を利用して算出する方法です。1988年1月1日付けの税額表が現在も有効ですが、将来変更される可能性があります。
第二は、コンピュータ給与システム用の歳入局が制定した計算式を利用するものです。これも1988年1月1日付けの算式が今も有効です。計算式はオレゴン源泉徴収税額表に示されています。
連邦の場合
連邦所得税の源泉徴収する金額を算定する方式も、パーセンテージ方式と源泉徴収税額表方式とがあります。
いずも、後述の控除係数に基づき,雇用者が源泉徴収を行ないますが、年次確定申告で最終調整される結果となりますので、ルールに則り行なっていれば,細かい神経を使う必要はないと思います。
ALLOWANCES(控除係数)
源泉徴収額を計算するとき、従業員が雇用者に提出するW-4に申告した控除係数(Allowances)を使い、計算します。オレゴン州もIRSのフォームW-4又はW-4Pを準用します。もし従業員がW-4を提出しなかった場合は、Allowancesゼロとして計算します。
但し、次の場合にはW-4にあるAllowancesを使うことができません。
従業員が、オレゴン州の源泉徴収だけが免除されている旨申告している場合。
オレゴン州歳入局股はIRSが、Allowancesを使わない旨通告してきた場合。
また、次のような場合のW-4を、雇用者は受領後20日以内にオレゴン州歳入局にコピーを送付しなければなりません。
10 Allowancesを超えるもの。
源泉徴収が免除され、かつ週給が200ドルを超えると見込まれるもの。
連邦税法上でなくオレゴン州税法上、源泉徴収が免除されているもの。
源泉徴収税の納税
オレゴン州の納税
オレゴン州の源泉徴収税の納税期限は、下記の連邦の源泉徴収税の納税期限と同様,四半期納税額$2,500未満の場合,四半期毎の納税,$2,500を超えると月次納税(翌月15日まで)になります。そして5万ドルを超える場合は,2週間毎,10万ドルを超えると翌日納税となります。
納税は、フォームOTC(Oregon Combined Tax Payment Coupon)に小切手を同封し直接オレゴン歳入局(Oregon Department of Revenue, PO Box 14800, Salem, OR 97309-0920)に郵送します。一納税の都度、一枚のOTCを作成しなければなりません。
電子納税制度
納税はオレゴン州歳入局の電子納税制度(Electronic Funds Transfer = EFT)を利用することもできます。利用するためには歳入局(ODR)に登録しなければなりません。登録は納税者の任意です。
一方連邦税の電子納税制度(Electronic Federal Tax Payment System = EFTPS)があり、年間源泉徴収総額が10万ドルを超える雇用者は、すべて電子納税制度により納税しなくてはなりません。年間源泉徴収総額とは、フォーム941、941-PR,941-SS,943,CT-1の合計額をいいます。勿論電子納税制度を一旦利用した後、たとえ義務がなくなったとしても引き続き電子納税制度を利用することができますし、対象外の雇用者誰でも利用することができます。フォーム720、940又は940-EZ,941,943,945,990-C,990-PF,990-T,1042,1120又は1120-A,CT-1の納税に利用できます。
IRSへの納税
IRSへの源泉徴収税の納税は、四半期の累計納税額が2,500ドル未満の場合は、銀行預け入れに代えて、フォーム941に小切手を同封してIRSへ郵送することができます。
四半期の納税額が2,500ドル以上の場合は、電子納税システム(EFTPS)を利用して納税します。この場合、月次納税、隔週納税、翌日納税の三つの納税方法があり、それぞれ該当する方法で納税しなければなりません。
○ 月次納税(MONTHLY RULE)
定められた特定期間(前々年7月1日から前年6月30日まで;すなわち2011暦年の場合,2009年7月1日より2010年6月30日までの4四半期)の連邦失業保険税(FUTA)を除く源泉徴収税の納税総額が5万ドル以下の場合、月次納税が認められています。月次納税は、当該月の源泉徴収税を翌月15日までに銀行に預け入れなければなりません。
月次納税該当雇用者は、フォーム941を月次ではなく、四半期毎にIRSに送付すればよいことになっています。
新規設立企業の場合も、第一年度に限り、月次納税でかまいません。
○ 週二回納税(SEMIWEEKLY RULE)
月次納税と同様の基準で、納税総額が5万ドルを超える場合、隔週ベースで源泉徴収税を納税しなければなりません。
納税要領は次の通りです。
賃金給与支給日 納税期限
水、木、金曜日 次の水曜日
土、日、月、火曜日 次の金曜日
○ 翌日納税(ONE-DAY RULE)
納税額の合計が10万ドル以上となる場合、月次または週二回を採用していたかどうかにかかわらず、翌銀行営業日に納税しなければなりません。
また、もし月次納税対象企業が、ある日10万ドル以上の源泉徴収をした場合、翌日より隔週納税ルールが適用され、残余期間及び翌年度は隔週納税方式を採用しなければなりません。