第1回 進出を決定する前に
如何にオレゴン州の投資環境が良くても、日本企業、特に増加しつつある中堅中小企業の海外進出に於いて、海外進出を計画する時、進出の前に総合的なフィージビリティ・スタディー(事業化調査)に時間と費用と労力をいくらかけてもかけ過ぎることはありません。そして係る進出のかなり初期の段階から、内外各方面の信頼できる専門家、すなわち政府開発当局、弁護士、会計士、銀行、風評あるコンサルタントを交えて、現地の法規制、現地の実情・意見などを充分に吸収しながら計画を策定することが不可欠です。特に現地において信頼でき、貴社の多様なニーズに幅広く応えてくれる専門家がいるかどうかが、成功の第一歩です。オレゴン州政府の駐日代表部や現地開発当局、弁護士事務所、会計事務所、コンサルタントなど専門家に、前広に相談することが大切です。これにより海外進出の成功の可否が決まると言っても過言ではありません。無知、思い込みや日本サイドに都合のよい方針を現地で一方的に断行するのは、海外進出・事業展開の上で極めて危険です。
過去の歴史に於いて海外進出の失敗は、フィージビリティ・スタディーの欠如又は未熟、無知、無理解、安易な判断から生じたケースが極めて多いのです。とかく現地で問題が発生してからあわてて相談するのが通常で、その時はすでに手後れか又は膨大な費用をかけて解決せざるをえない事を肝に銘ずるべきです。
フィージビリティ・スタディ(事業化調査)のチェックリスト
項目 | チェック・ポイント | 作業内容 |
アドバイザーの選定 | 専門家 | 弁護士(日本語・経験・能力) |
会計士(同上、加えて国際税務対応能力) | ||
銀行(邦銀・米銀) | ||
州・地方政府開発当局 | ||
不動産・建設設計業者 | ||
進出形態の検討 | 業態と事業計画 | 会社形態組織・経営効率の極大化追求 |
連邦・州・地方税制 | ||
サイトセレクション | 用地調査 | 面積・地形・形状確認。 |
ゾーニング確認(駐車スペース、緑地 | ||
造成)価格 | ||
造成の必要の有無(造成費用の確認) | ||
認。電気・所有権者の確認(測量も含む) | ||
公害規制 | ||
コミュニティの状況 | 生活環境(住宅・買物・教育・病院等) | |
日本人学校 | ||
治安 | ||
政府・地元民の受け入れ態度 | ||
輸送機関(仕入・販売)のコストと時間 | ||
用地確認 | 建設業者の決定 | 測量 |
ボーリング調査 | ||
タイトルの確認 | ||
開発許可申請 | ||
建設許可申請 | ||
交渉 | インセンティブ | 職業訓練プログラム(教育・採用・本社派遣 |
教育・本社からの指導員派遣) | ||
優遇税制 | ||
ファイナンス | 州のプログラム・IRB(申請フォーム取得) | |
インフラ整備 | アクセス道路整備・造成等 | |
行政手続きの援助 | 各種許可手続きの迅速化 | |
具体的スケジュールの確認 | ||
フリートレードゾーンの調査 | ||
派遣者のビザ取得 | 特に工事期間中の本社からの派遣者 | |
子女教育 | 現地校(ESL) | |
有能な人事労務部長の採用 | 組合対策も含む | |
現地法人 | 設立手続き | 本社所在地・州の決定 |
名称(略称)の決定(商号の事前調査) | ||
資本形態(資本金) | ||
役員(社長と秘書役) | ||
基本定款・付属定款・株式引受契約 | ||
州当局に法人届け出 | ||
連邦ID番号取得 | ||
銀行口座の開設 | ||
当初資本金払い込み | ||
出向者のビザ取得 | ||
(仮)事務所の設置 | ||
契約 | サイトの決定 | 社内決裁手続き |
地元への通知(新聞公表) | ||
ゼネコン:作業開始 | ||
弁護士:契約・当事者・契約形態・条件確認・ | ||
支払い方法 | ||
調査事項 | a. ユニタリー・タックス制度 | |
b. 派遣者の給与体系 | ||
c. 労働・行政規制関係の法規 | ||
d. 産業廃棄物規制 | ||
e. 運輸会社の調査 | ||
f. 保険(建築工事保険・輸送保険・火災保険・製造物責任保険) | ||
g. 近隣の大学・研究所 | ||
h. 日本人学校・地元のESL教育 | ||
i. 現地調達品、メインテナンス | ||
j. 派遣者の住宅 | ||
k. 労働組合事情 | ||
l. 労働管理 | ||
その他の注意事項 | 1)工事期間は、土地の整備状況・工事内容により相違し。冬期の工事は工期と費用にマイナス | |
2)意向表明は、なるべく早めに明確に、社長又は役員が書面で通知することが望ましい | ||
3)IRBを利用する場合は、ALLOCATION取得以前に土地の売買契約締結不可 | ||
4)当初資本金を振り込まないと契約等いかなる法人行為も不可 |